年が明けて、寒さがいっそう厳しくなる頃、ようやく我が家も家らしい体裁になってきた。建具が運び込まれ、ガラスが入り、電気が配線されて、室内で水道が使えるようになった。建具屋のAさん、ガラス屋のSさん、電気屋のHさん、水道屋のUさんと、たくさんの職人が出入りするようになり、現場は活気づいていた。Aさんがつくってきた建具に、Sさんがガラスをはめる。大きなガラスを専用のカッターで切り、吸盤のようなもので持ち上げてはめ込む。
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―度ではなかなかうまくいかず、何度かあんばいを見ながら、はめて、止める。我が家のガラスは、窓も壁のガラスも、外に向いたところは二重になっているが、すべてこうしてSさんがはめ込んでくれたものだ。Sさんから出された見積もりを見ていたら、ガラス一枚250円というのがあった。どこのガラスなのかと聞くと、トイレのドアに付けられた小さな曇りガラスだった。今まで、いろいろな家に住んだが、家のガラスの1枚1枚が、Sさんのような職人の手ではめ込まれているなどということは、想像したこともなかった。だが、そんなSさんの仕事も、最近は不況で激減しているとのことだった。家を建てる人が、全体的に減っているからだ。「本業は減っているけど、でも、不況だからでしょうね、修理の仕事だけは、ここにきて立て続けに入ってきています」最近、空き巣が多発しているというのだ。泥棒に入るのに、たいていはガラスをカットし、そこから手を突っ込んで鍵をあける。カットされたガラスを元に戻す仕事が増えて、かなりの手間賃になっているのだそうだ。
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