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旅のついでにブランド品のショッピング

アメリカがくしゃみすると日本がカゼをひく……といわれたのも今は昔。日本経済の不況が世界各国に影響をおよぼす時代だ。アメリカですら、はやく日本が活況を取りもどしてほしいと声明をだすくらいだ。一時の右肩上がりの円高から、円安に転じて、また持ち直したとか、毎日のニュースは日本人の不況意識をかきたてるが、これはあくまで円とドルの関係。アジア諸国での円高の傾向には、あまり変化が見られない。旅のついでにブランド品のショッピングを考えているなら、こうした円高差益の期待できる国がいいかもしれない。1996年から2年間の変動を見ただけで、フィリピンで22パーセント、タイで23パーセント、マレーシアで26パーセントと、軒並み円のレートがアップしていた。とくに、通貨不安で暴落している国だったりすれば、ツアーそのものにかかる費用も少なくてすみ、一挙両得ということになる。

現代に流通する「エレガンス」という美意識

現代に流通する「エレガンス」という美意識、使われ方の原型は摂政時代のダンディズムの「粋」にあると私は見ている。エレガンスという言葉の語源に立ち返ってみると、「微細な美しさで人を喜ばせること。細心の注意を払って選びに選び抜くこと」という意味が求められるのである。あるコンピューター・プログラマーが教えてくれたことであるが、理系受験生の必読書だった『大学への数学』では、最高の解答には「エレガントー」と評価を与えられるのだそうだ。一見、シンプルで単純な数式なんだけれど、その奥には深く複雑な思考過程を感じられるような、そういう解答が「エレガント」なのだと。その反対に、やたらぐちゃぐちゃと数式を書き連ねたものは、たとえ最後は正解につながっても、「エレファント」な解答として軽んじられるのだとか。身支度に何時間もかけても、仕上がりはそれとはわからないシンプルな印象。微細なカットの違い、微細なネ。ククロスの結び方の違い、微細な眉の上げ方の違いで際立つこと。現代ならばまちがいなく「エレガンス」と表現するこういう着こなしや態度は、まぎれもなく摂政時代の「粋」につながる。

クセのある人ほど紺ブレが似合う

ダブルもシングルも紺ブレが似合わなかった人は、2代目のロジャー・ムーアだ。当たり前すぎて、言葉を換えれば、あまりに英国的すぎてつまらない。おそらく彼自身が、カジュアル系ではないのだろう。ロジャー・ムーアは、スーツスタイルの方がよく似合う。ロンドンに行けば、どこにでもいそうなクセのない役者で、殺しのライセンスをもっているなどとは、とても思えない。多少あくの強い役者の方が、ブレザーは似合うものである。あくが個性につながる。おそらくブレザー独特の素材感と、深い紺色が作用するのだろう。個性を表現したい人は、深い紺色を選んだ方が、効果が出るロジャー・ムーアのシングルの紺ブレは、2つボタンでVゾーンが広い。これはいい。だが、白いシャツにストライプのタイが、めったやたらにつまらない。カジュアル性が感じられない。これからどこかのクラブのパーティに赴こうという服装である。長い顔に長いシャツ襟もおかしい。長い顔の人は、シャツ襟をワイドにすべきだ。ダブルのブレザー姿もいただけない。金ボタンを3つずつ並行に並べるブレザーは、チャールズ皇太子がフォーマルな席に出席する服装で、もともとマリン・コートと呼ばれた英国海軍の制服だ。ドレッシーすぎる。白いシャツを着ているので、なおさらそう見える。